KATOユニトラックの標準勾配は4%(=40‰)とされている。しかしながらマニュアル通りに作ると、4%以上の勾配ができたり腹を擦る所が発生することがある。
そこで本項では、ユニトラック標準勾配の適切な作り方をユニトラックの構造・規格と共に見ていく。




SK01

ユニトラックの高架線路は上記4つの部品(高架線路、Sジョイナー、架線柱台、橋脚)で構成される。ちなみに架線柱台はアクセサリ部品なのでなくても良い。

高架線路は一般的な線路より10mm高い位置にレールを載せている。そして高架線路と橋脚はSジョイナーによって接続するのだが、このSジョイナーによって2mm嵩上げされるため、線路部分は橋脚の高さ+12mm分だけ高い場所に位置することとなる。


各勾配橋脚の高さと、その状態における線路高は以下の通りになる。

単線橋脚複線橋脚[mm][mm]
0.5A18.0 20.0 
1B113.0 25.0 
1.5A218.0 30.0 
2B223.0 35.0 
2.5A328.0 40.0 
3B333.0 45.0 
3.5A438.0 50.0 
4B443.0 55.0 
4.5B4.545.5 57.5 
5548.0 60.0 

最高地点である高架橋脚No.5の場合、橋脚高さは48mm・線路は地上から60mmの場所に位置している。つまり最終的には線路を地上から60mmの高さまで持ち上げる必要があるのだ。



SK02

ユニトラックの標準勾配は4%(=40‰)とされている。これは、勾配橋脚基本セット(23-015/048)1スパン分に対して長さ248mmの直線線路を用いた時にできる勾配である。
当然ながら用いる線路の長さによって勾配が変わるので、線路1本で勾配橋脚基本セット1スパン(=10mm)上昇させる場合にできる勾配を以下に記す。


直線線路
S248…4.03%←標準勾配
S186…5.38%

曲線線路(45度)
R249-45…5.12%
R282-45…4.52%
R315-45…4.04%←標準勾配
R348-45…3.66%
R381-45…3.34%
R414-45…3.08%

曲線線路(30度)
R348-30…5.49%
R381-30…5.02%


4%勾配を作る場合、直線線路は長さ248mm、曲線線路は半径315mm・角度45度での作成が基本になる。









続いて、勾配橋脚の設定について見ていく。
結論から言っておくと、基本セットだけでは安全な4%勾配を作ることができない。



単線勾配橋脚の場合
SK03
単線用の勾配橋脚基本セットの使用状態。
一番ダメだと思ったのは勾配の出だし部分。いきなり4%勾配が始まる上、高架線路の出だし部分で6%もの急勾配ができてしまう。

YouTubeをちょくちょく見渡していると、「標準勾配でも登らない…」という声が散見されるが、実はその勾配は標準勾配より急な所があったのである・・・。

高架線路の勾配終端部が2%勾配に緩和されているのは良いと思う。

SK05
補助セットと組み合わせたメーカー指定組立図がこちら。
地上部出だしの勾配が2%に緩和されるのは良いのだが、高架線路の勾配立ち上がり部で6%の急勾配がそのままになっているのは良くない。

SK07
・・・ということで、図のようにS124Vを1本追加し、勾配橋脚【0.5】をメイン橋脚として使うのである(ジョイナーを付属のフリーストップ式からSジョイナーに交換すること)。

ついでに地上部の勾配スタート部も62mm分だけ短縮できる(高架線路側をS186にすること)。2%勾配のままでいいって人はメーカー指定通りの立ち上がり勾配にしてよい。







複線勾配橋脚の場合
SK04
複線用の勾配橋脚基本セットの使用状態。
こちらは地上の勾配スタート部に関してはスムースに仕上がっている。ただし、高架線路の勾配終端部で4%勾配からいきなり平坦になっているのは良くない。全長の長い車両や地上高に余裕のない車両だと、腹をすってしまうと思う。

SK06
補助セットと組み合わせたメーカー指定組立図がこちら。
難点であった高架線路の勾配終端部に緩和勾配ができたのは良いが、その設定が歪。3%勾配と1%勾配という組み合わせになっている。悪くはないんだけど・・・どうにもすっきりしない。

SK08
というわけで、こちらは長さ248mmの高架直線1本を長さ124mmのものに置き換える(型式=WS124V)。
そしてB4をメイン橋脚・B4.5をサブ橋脚にして、高架線路の緩和勾配を適正値の2%にしてしまうのである。これによってトータル勾配長が124mm短くなるし、橋脚が歯抜けになる部分もなくなるのでオススメ。





ED71+20kei-2percent
皆さんもこんな感じで4%勾配を作ってみてください(とか言いながら写真は2%勾配である)。

・・・てか、そもそも4%勾配って急坂すぎるんですよね。長編成だと登れない列車が続出しているし、もっと緩い勾配にしたい!!
そんな時の対処法については、後日また執筆することにします。